慈悲庵発足について

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慈悲庵について

慈悲庵在宅福祉事業第一歩の取り組み 「ひとり暮らし老人食事サービス事業」について

社会福祉法人 慈悲庵 相談役 影山 浩三

「ひとり暮らし老人食事サービス事業」は、社会福祉法人慈悲庵が現在行なっている幾つかの地域在宅老人サービス事業の根幹であり、法人役員、職員の地域福祉に対する基本的な理念の実現であると信じております。
静岡県内第1号の「ひとり暮らし老人食事サービス事業」は、当初は県、市等からの補助金はなく、私費及び民間の善意をお願いし、民生委員、ボランティア団体のご協力により実現したものであります。以下は、養護老人ホーム九重荘「ひとり暮らし老人食事サービス事業」(以下、食事サービス事業と言う。)について少しだけ記するものです。

「ひとり暮らし老人食事サービス事業」との出会い
「ひとり暮らし老人食事サービス事業」との出会い

九重荘開設以来5年が経過して物事石の上にも3年の我慢、5年経てばひとわたり経験、10年経過でやっと一人前とよく言われますが、創設5年目、昭和50年9月に、九重荘において食事サービス事業を開始しました。施設運営も順調で職員も意欲満々、入所老人も落ち着いた生活ができるようになりました。  その年の春、鹿児島市で開かれた全国老人福祉施設会議における「地域解放に関する分科会」で、東京老人ホーム施設長日高昇先生は、「これからの老人ホームは、地域に開かれた施設、地域の福祉ニーズを捉える施設でなければならない。(当時はまだ一部の地方では、養老院と呼ばれ、社会から隔離された悪い環境の施設とされていました。)益々増加するであろう高齢者に対し、施設のみでは対応は不可能であり、行政及び諸団体の在宅福祉サービスへの取り組みの重要性が一層高まることであろう。」と意見を発表され、その具体的活動の一つとして、食事サービス事業についての取り組み方法を情熱を持て話されました。九重荘は5年経過し安定していたとはいえ、当時9名の職員と入所老人の処遇に一生懸命でしたので、とても施設の外側に目を向ける余裕はありませんでした。施設が在宅老人の生活にまで係りをもつ事など、全く考えた事はありませんでした。しかし、日高先生のお話を聞き、社会資源としての老人ホームの在り方を認識し、食事サービス事業のひとり暮らし老人に及ぼすはかり知れない効果と、この活動から生まれる人々の温かい人間関係がより良い地域社会環境を作り、福祉連帯意識を育む事を理解いたしました。

九重荘にて「ひとり暮らし老人食事サービス事業」の実施へ
九重荘にて「ひとり暮らし老人食事サービス事業」の実施へ

施設に帰り早速職員の理解を得る為に何度か話し合い、本事業の必要性について賛同を得る事ができました。九重荘周辺(都田・三方原・初生各町)のひとり暮らし老人25名に対して、地区民生委員さんのご協力を得て老人のお宅を訪問して、面接及びアンケート調査を実施し食事サービスについて説明し、希望者が7名の方よりありました。訪問調査に伺った所、あるご老人は、その家の敷地内の離れに亡妻の位牌を守り毎日誰とも話しをしない日々を送っており、食事は1日に1食か2食です。民生委員さんが食事サービスを受けるように勧めると、「食事サービスは受けません。今は息子夫婦とは話しもしない、付き合いもしていないが、自分が死ぬ時は世話にならなければならない。今他人様の世話を受けると、その時に面倒を見てもらえない気がするからお断りする。」といって奥の間へ入ってしまった。 九重荘にて「ひとり暮らし老人食事サービス事業」の実施へ また、もう1人の方は、「食事サービスはお上の施しだから断ります。」「息子が東京にいるが、必ず一緒に住めると思うので、今は寂しいがきっと一緒に暮らせると思う。」と言っていたが、何ヶ月か後に亡くなったと近所の方が知らせて下さった事もありました。
ひとり暮らしのお年寄りは、大部分の方が、毎日訪れる人も無く、話し相手もいない、足腰が弱って外出も思うように出来ないでいるのです。でも、誰の世話にもならない。自分ひとりで頑張りたいと願っているのです。しかし、地域に存在するひとり暮らし老人を見捨てたり、知らん顔をしてはいけないのです。地域の皆さんが、関心をもって見守り、時々でも手を差し延べてあげなければいけないと思っておりました。
九重荘にて「ひとり暮らし老人食事サービス事業」の実施へ 調査後、早速準備にかかり、希望された7名のお年寄りに配食いたしました。当初は、配食方法、献立内容、容量問題、衛生関係、特に食中毒等に充分注意を払い研究もいたしました。財源についても施設独自ではおのずから限界があり、市、県等に対して食事代の老人負担金軽減の為、再三のお願いをし、助成金の申請をして参りながら、配食数の増加に伴うボランティアグループの拡大化に努めて参りました。
お陰様で行政当局においても、時代におけるニーズをご理解戴く事ができました。また、ボランティア組織についても昭和55年9月より、『フリージアの会』約65名とその後、『藤の会』約25名によって、市内8地区65名余りのひとり暮らし老人に配食を広範囲に渡って実施する事ができました。

県内にも広まった「ひとり暮らし老人食事サービス事業」
「ひとり暮らし老人食事サービス事業」との出会い

鴨江地区、特別養護老人ホーム白萩荘においても、地域住民の方々により食事サービスに対するニーズが非常に高く、広沢・鴨江・栄地区のボランティア団体、民生委員さん等のご協力を得る事によって、平成6年4月より実施する事になりました。
 地域の皆様のご理解とご協力により、「ひとり暮らし老人」への認識は益々高く食事サービスを通じて、お年寄りが長年にわたる家族、友人、知人等との人間関係を保持しながら、住み慣れた地域の中で生活して行く事が望ましく、従ってできるだけ生活圏である街、地域でサービスが受けられる事が大切な事であると考えます。

  • 1. 老人福祉施設資源(ハード・ソフト)の地域解放
  • 2 .ひとり暮らし老人への食事による栄養補給
  • 3. ひとり暮らし老人のボランティアとのふれ合いによる孤独感の解消
  • 4. 孤独死の防止
  • 5. 地域福祉連帯意識の助長

県内にも広まった「ひとり暮らし老人食事サービス事業」 以上、5項目について、ご理解戴いた県内の福祉関係者及び機関、団体である所の市町村内老人福祉施設、社会福祉協議会、各種ボランティア、婦人会、町内会等々が、本事業を実施する事となり、方法も個別、拠点配食、公民館ふれあい給食やシルバーセンター等種々の形態によって何千人のお年寄り、何万人のボランティアがこれまで30年間に渡り温かい心の交流活動を展開しているのであります。
尚、平成12年度より、新しく制度化された老人介護保険法によって、ひとり暮らし老人食事サービス事業の方向性が大きく変わり、他の在宅福祉サービス事業に包括されつつ多少の変動を余技なくされる事もございますが、今も尚、本事業の目的達成を目指して日夜努力を重ねてこれからも継続して「ひとり暮らし老人」の幸せな生活支援をして参るものと信じております。

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